glazed frost

FTのグレジュビ、OPのサンナミをこよなく愛するブログ。

姫と王子の夜想曲(ノクターン)

グレジュビ、姫と王子シリーズ第2話、です!

今回はガシレビメインですね。

ガジル、大好き~。いろんな意味で男前!

それではどうぞ。

 

姫と王子の夜想曲(ノクターン)

 

 

 

列車と馬車を2本乗り継いで3時間、ダリの街に着いたのは昨日の夜の事だった。

ウェンディにかけてもらったトロイアも後半はきれてしまっていたので、ラスト1時間くらいはマジで死ぬかと思った…。

帰りの乗り物のことを考えると今からゲンナリするほどである。

 

ミラジェーンは、戻った三人目の被害者の所に寄って、何か少しでも手掛かりになるような話を聞いてくる、と言って途中から別行動を取ることになった。

 

『話をするなら女性の方がいいと思うの』

 

ミラはそう言って一人で行くつもりにしていたようだが、今回はどんな行動も基本的には誰かと組む事というルールが出来上がっていたので、一緒にラクサスが同行することになった。二人で、1日遅れて今晩街に到着することになっている。

 

昨晩、手配してあった宿に着いた後、カナからカードの使い方について説明を受けた。

1つ目のカードはそれを持っている本人の居場所を追うための云わば発信器のようなカードで、これはカナにしか追うことは出来ないが、街の中の範囲ならばそのカードの持ち主の現在地を把握出来るというものだった。

勿論、ジュビアとレビィに一枚ずつ持たせて二人の場所を特定するのに使うものとなる。

もう1つは、スピーカーのような役割をするカードで、二枚で一対になっているものだった。

ジュビアとレビィが発信側のカードを持つことで、彼女たちの声や周りの音を、対の受信側のカードを持つ者に送ることが出来るというもの。

ジュビアのカードの対のカードを氷野郎が、レビィの対のカードを俺が持つことになった。

 

『カード一対に魔力を使うんでいいなら、半径1km位はいけるんだけどね……』

 

カナは申し訳なさそうにそう言った。

 

二対のカードに魔力を注ぐとなると、声が届く距離は約半分になってしまうということだった。

それでも、街の中心部に陣取った宿から、各所に散らばった合計6枚のカードに常に魔力を注ぎ続けるとなると、それはかなりの魔力を消耗するものであるだろう。

レビィは迷わず受信側のカードを俺に渡してくれたが、ジュビアは受け取ったカードを見つめて固まっていたので、グレイの野郎が無理矢理対のカードを奪い取っていた。

ジュビアの奴、やっぱり……。

今回の話が決まったその日から、ジュビアの態度は頑として一定だ。

いつものように『グレイ様グレイ様』と奴の周りをグルグルすることもなく、誰かに向かって『恋敵~!』と騒ぐこともない。シンとした佇まいで黙々と仕事をこなしている。

グレイの野郎はその様子を黙って見ているが、内心苛ついているのは火を見るより明らかだ。

 

そして。

 

レビィも、普段通りに振る舞ってはいるが、やはりいくらか違うように思う。

気が付いたら、レビィが俺の手を掴んでいたり、俺の服の裾を握っていたり。

 

『おい…』

 

俺がそう言うと、

『…あれ? あはは、ごめん。』とか

『…えっ、いつの間に?』とか返して来るところをみると、どうやら無意識の行動らしい。

 

ジュビアとレビィは、ギルドの女性陣の中では俺に最も近しい二人だ。

その二人がこうも通常運転じゃない所をみると、自分の心の中がザワザワしてくるのを感じる。

大体お前ら、俺たちが散々渋ったにもかかわらず、自分で志願してここに来たんだろうが。

だから止めとけっつったんだ。

そうは思うが、この街に入ってから本人たちにも緊張感が増しているのだろうと思うと、それも仕方のないことのように思えた。

まぁ、ジュビアの事は氷野郎に任せておけばいい。

だが、レビィのケアは俺の仕事だ。

こんなことを『めんどくせぇ』とか『何で俺が』とか思わねぇ辺りが、俺もイカれてんなと思う。

むしろ、他の奴には任せたくねぇとすら思う所がますますイカれてる。

我ながら呆れる話だ。

 

 

そして。

今日から二人の囮作戦が始まった。

青い髪の魔導士がいることに食い付いてもらわなければならない。

ジュビアとレビィは、ダリの街でなるべく目立つように『仕事』をすることになった。

マスターとミラジェーンの方で既に手配済みだったらしく、各ギルドに散らばっていたダリの街からの依頼をフェアリーテイルの方に移してもらい(どうやら評議院も一役買っているらしいが)、二人にどんどんと依頼をこなしていって貰うこととなっている。

 

本日一日目はレビィは大学の研究の手伝いに、ジュビアは街の中心にある神殿で行われるという謝祭の準備に行った。

俺とグレイはある程度の距離を取りつつ、二人の様子を見守る位置につく。

今日は、まぁ初日だということもあるだろうが、これといって特別なこともなく無事に過ぎていった。

 

 

夜になって、ミラとラクサスが合流した所で、

全員で晩飯を食いながらの報告会となった。

 

「今日一日、街に出ていて思ったが…。

やっぱり独特の雰囲気だよな。」

 

「…まぁ、自治区だからな。」

 

グレイがそう言ってきたことについては俺も同感だった。

 

ダリの街は、フィオーレ王国にいくつか存在する『自治区』の1つだ。自治区とは、元は周りの小国であったり他国の一地域だったものが、現在はフィオーレ王国の一部となったもので、それぞれの地域に独特の文化や宗教があるため、基本的には各地域ごとに自治が任されている。

今回ここにやって来て、(少なくとも俺は)初めてダリの街が自治区であることを知った。

 

街の中心に大きな神殿があり、そこの神官が代々この自治領の領主を勤めているらしい。

街そのものも一風変わった形をしており、真ん中にある楕円形の土地の周りに放射線状に八本の道が伸びている。それぞれの道に沿って民家や店が並んでいるのだが、道同士が横に繋がっていないため、何処に行くにも一旦は街の中心の楕円の部分に戻らなくてはならない。

言うなれば巨大な蜘蛛のような形をした街だった。

一方向にしか行き来出来ない、ということは追跡には向いているということなので、ある意味便利ではあるのだが。

 

 

「今日行った神殿で、神官の方にはお会いしましたよ。去年、先代の神官であったお父様が亡くなられて、跡を継がれたそうですが、街の方々からの信奉も厚く、ご立派な方のようでした。」

 

ジュビアが今日行った仕事先での様子を語ると

 

「そうだね。確かに独特の文化っぽい感じではあるけど、街の人も皆親切で明るいね。

今日行った大学は魔法学の研究が盛んみたいだった。そこの学長?みたいな人も若いのにみんなに慕われてる感じだったし。」

 

レビィも今日感じた自分の感想を述べる。

 

「まぁ、早々にはエサに食らいついてはくれねぇかもしれねぇが…。早いとここんな任務とはおさらばしてマグノリアに帰りたいぜ。」

 

グレイの野郎がため息をつきながらそう言った。ジュビアをエサに出しているという苛つきと、ジュビアがいつも通りじゃないという事実に辟易しているようだった。

そんなグレイを横目に見ながら

 

「今日、聞いてきた話で少し気になったのがね…、」

 

ミラジェーンがそう切り出し始めたちょうどその時。

 

「お兄ちゃんたち、旅行者かい?」

 

そう言って、一人の男がラクサスの肩に手を置いて話しかけてきた。

ずいぶんと酒が入っているようで、真っ赤な顔でえらくご機嫌だ。

 

「そうだ。」

 

ラクサスが、チラリとそちらを見て簡潔に答える。

すると、

 

「ダ=リーは初めてか?

良いとこだぜ、ここは。

それにしても、キレイなお姉ちゃんばっかだなぁー。

うらやましいぜ!兄ちゃんたち。」

 

ガッハッハ、と豪快に笑いながら、今度は氷野郎の背中をバシバシと叩いてくる。

 

「いてぇっつの!」

 

グレイは顔をしかめていたが、どうやら悪気はないらしい。単純に酒が入って陽気になってるだけのようだ。

 

「オヤジさんはこの街の人か?」

 

ラクサスがそう尋ねると、

 

「おう!そうだぜ、ホレ!」

 

その男が左腕を捲って何やら青い文字のような刺青のようなものを見せてきた。

 

「何なの?それ」

 

カナが、きょとんとした顔でそう訊ねると、

男は我が意を得たりとばかりに、

 

「これは『ダ=リーの加護』さ!

この街に産まれた人間は、全員これを体の何処かに貰うんだ!」

 

と、ご機嫌になってそう説明を始めた。

その途端に、酒場があちこちでざわめく。

なんだ?と思っていると、カウンターの方から慌てた様子でもう一人の男がやってきて、

 

「こら、お前飲み過ぎだぞ。」

 

そう言って男の頭をはたいた。

 

「ウィ~?」

「ほら、あっちに戻るぞ。

悪りぃな、兄ちゃんたち。邪魔したな」

 

カウンターからやってきた男はニコニコと笑いながら愛想よくこちらに謝って、酔っぱらいオヤジを連れて戻っていった。

 

「…なんだったんだ」

 

グレイがブツブツと文句を言っている横で、ミラジェーンは唇に人指し指を当てて何やら考えこんでいる様子だった。

 

「…どうした?」

 

その様子を見てラクサスがミラに尋ねると

 

「…ダ=リーの加護、…ね。」

 

ミラジェーンがぼそりとそう呟いた。

 

「ミラちゃん、何か気になることでも?」

 

「…今日、被害者の話を、聞いてきたでしょ?

その中にあったの。『ダ=リーの加護』って言葉が。

なんだかすごく怯えているように見えたから気になってたんだけど…。

でも、さっきの話じゃ、この街の人はみんなアレを持ってるっぽいから。

あまり手掛かりにはならないかもしれないわね。」

 

ミラジェーンはそう言って曖昧に微笑んだ。

 

それから暫くは、昨日カナから聞いたカードの内容や、街の地理などについて全員で情報を交換しあった。

ウォーレンの念話もこの街の大きさぐらいなら何とか届きそうだということだ。

 

一通りの話と食事が終わるとすぐに、

 

「…ジュビアはもう部屋に戻ります。

皆さんはごゆっくりしてください。」

 

ジュビアがそう言って席を立った。

 

グレイはじっとジュビアが食堂を出てゆく姿を見つめていたが、一呼吸おいて『はぁ』とため息をついたあと「俺も、戻るわ」そう言ってその場を後にした。

追いかけてやるつもりなのか、それともヘタレてやがるのか、よくはわからねぇが、あの二人の事はあの二人に任せるしかない。

 

「…やれやれ…。

ジュビアも、グレイも素直じゃないね。」

 

カナが、呆れたようにぼそりと呟いた。

 

さて、俺も、部屋に戻るとするか。

そう思って、ガタンと立ち上がって進もうとしたら。

カクン、と何かに裾を引かれた。

 

……また、かよ。

 

レビィが、俺の服の裾を掴んでいた。

 

「……チビ」

 

一言、そう声をかけると、

 

「…えっ?……うわっ、また!

ごごご、ごめんっ、ガジル」

 

そう言ってレビィが慌てて手を離した。

隣でカナとミラジェーンが頬杖をついてニマニマ笑っている。

…クソ、マジでムカつく。

 

「ごめん。ガジル。

いいよ!行って行っ…」

 

レビィの台詞が終わらねぇうちに、あいつが離した手をグッと掴んだ。

 

「…えっ?」

 

そうしてそのままそっと手を引いて立ち上がらせる。

 

「あの、ガジル?」

 

レビィが不思議そうに訊ねてきたのは無視して。

そして、周りの奴等が何か言いたげにニマニマしてやがるのも当然ガン無視して、

レビィの手を引いたままゆっくりと外に向かって歩き出した--。

 

 

 

 

*******

 

 

 

レビィの手を引いて、なにも言わずにただ黙ってダリの街を歩く。

レビィも、俺に手を引かれるままに静かに付いてくる。

もう夜も遅い時間だからか、それともこの街の特色なのか、街並みもシーンと静まっていて、まさに夜の静寂に二人きり、という状況だ。

 

どこを目指すというわけでもなくゆっくりと歩いていると、眼の前に街のシンボルとも云える神殿が見えてきた。

神殿の周りには、遊歩道や小さな池、ツツジの群生等が配置されており、ちょっとした庭園のようになっている。

おそらくここで催事や祭が行われたり、あるいは街の人々のいこいの場になっていたりするのだろう。

石で作られた凝った意匠の長椅子を見つけたので、そこに腰かけてレビィにも座るように促した。

レビィもじっと俺の顔を見つめた後におとなしくちょこんと横に座った。

 

繋いでいた手をそっと外して、レビィの髪の毛をワシャワシャと掻きまぜて頭を撫でてやると

「もう、ガジル~」

プッと膨れっ面をしてレビィがワタワタと暴れた。

 

「ガジルってば、」

 

「大丈夫だから」

 

上目使いに文句を言ってこようとしたレビィの言葉を遮ってそう言った。

その瞬間に、レビィもピタッと暴れるのを止めてこちらを見つめてくる。

 

「………」

 

「…心配すんな。大丈夫だ。

俺たちが、……俺が、ついてる、だろ?」

 

「……ガジル…」

 

レビィは大きな瞳をさらに大きく見開いて俺を見た。

 

「…心配すんな。大丈夫だよ。」

 

上手い言葉やキザな台詞なんかをかけてやれるような、そんな器用さは持ち合わせてねぇ。

だから、ダセェことに全く同じ台詞を二回言った。

 

心配すんな。

他の野郎になんか指一本触らせねぇよ。

触った奴は、その場で半殺しにしてやるよ。

 

ムクムクと湧いてくるこの気持ちを『嫉妬』というのだろうか。

なにしろ人生で初めての感覚だけに自分のことながらよくわからねぇ。

今まで誰もこんな感覚を味わわせてくれた奴なんかいなかったから。

でも、おそらくこれが嫉妬であり、独占欲というものなんだろう。

 

レビィの瞳がほんの少しだけ滲んだ気がした。

そして、ギュッと唇を噛んだ後、泣き笑いのような顔をして

 

「…ありがと…」

 

と、そう言った。

 

「…ダメダメだね。私…

ジュビアはエライなぁ。」

「…はぁ?…何言ってんだ、お前」

「だって!

自分で行きますって立候補したのにさ。

でもって、同じ立場のジュビアはあんなにしゃんとしてるのにさ…」

「バカなこと言ってんじゃねえよ。

囮、なんてもんにならなきゃいけねぇんだから、気ぃ張って当然だろうが」

 

下を向いてグズグズと愚痴を垂れるレビィに向かって、俺は呆れた声でそう言って、

それから、

 

「…ま、それにジュビアのアレはまた別もんだ。

しゃんとしてる、ってなもんでもねぇよ。」

 

と付け足した。

 

「…どういうこと?

確かにちょっといつもとはちがうけどさ。」

 

レビィが真剣な瞳でそう聞いてきたので、答えるべきかどうしようかと少し逡巡したあとで、

 

「……戻っちまったかな、と思う。」

 

小さくそう返事をした。

 

「…戻っちゃった、って…?」

 

レビィもおずおずといった体でそう訊ねてくる。

 

「…まぁ、なんつーか、過去のトラウマみてぇなもんに、かな。」

「…トラウマ…」

「…ファントムにいた頃に、似たような任務があったんだよ。

まぁそれは、小せぇ闇ギルドが人身売買をしてて、で、それをぶっ潰して、つーような任務だったんだけどよ…」

「………」

「……で、色々あったから、…下らねぇこと思い出して、

…まぁ、戻っちまったかな、って。」

「…そうなんだぁ…」

 

俺のぼつぼつとした説明を、レビィもひとつひとつ理解しようとしてくれているようだった。

真剣な表情で受け答えをしてくれる。

…話す、つもりはあまりなかったんだがな…。

勿論、その『色々』の部分については、詳しく話す気はねぇが。

どうもコイツに見つめられると、ついポロリと心の声が出てしまう。

 

「…まぁ、アイツの事はいいんだよ。

氷野郎があんだけマジで苛ついてんだ。

何とかするだろうから、放っとけ。」

 

俺がぶっきらぼうにそう言うと、レビィも

 

「…ふふ、そうだね。

まぁ、いざとなったらグレイがきっと何とかしてくれるよね。」

 

そう言って微笑んだ。

 

それからは、お互いに言葉もなく、暫くの間黙って少し向こうに見える池を見つめていた。

水面に月が煌めいていて、キラキラと反射しているのを見て、柄にもなく『あぁキレイじゃねぇか』なんて思ったり。

ふと、横を見るとそのキラキラした水面を見つめているレビィがいて『いや、綺麗なのはコイツの方か』なんてもっと柄にもねぇ事を思ったり。

…くそ、こういうのは苦手なんだよ。

どうすりゃいいのか、誰か教えてくれ。

 

じっと、横にいるレビィを見つめてみた。

視線を感じたのか、レビィもふっとこちらを見て、

「…何?」

と訊いてきた。

 

なんか言わなきゃいけねぇ、んだよな。

今、思うこと。

レビィに、コイツに言ってやりたいと思うこと。

 

「…ガジル?」

 

「…お前を、傷付ける奴がいたら、

…俺が、ギタギタに潰してやるから。」

 

じっとレビィに見つめられて、口を付いて出てきた台詞はそれだった。

 

「…ガジル…」

 

「…ははっ、初めて会った時に木に磔にしたやつのいうセリフじゃねえか。」

 

少し自嘲気味にそうも呟いてみる。

 

「…ふふ、そんなこともあったね。」

 

レビィがすべてを赦してくれるような温かい声でそう言いながら微笑んでくれる。

コイツといると、いろんな気持ちが洗われていくような気がして。

普段は決して口にしないようなことも、コイツになら聞いて貰いたい、そう思う自分がいた。

 

「前は…」

「…ん?」

「…昔はな。」

 

ポツポツと話し始めた俺の声をレビィも黙って聞いてくれる。

 

「…ファントムにいた頃とか、…もっと昔とか。

その頃は、仕事が終わってギルドに戻っても、

ただ何となく戻ってただけだった。」

「………」

「…戻りゃあ、メシもあるし、次の仕事も手に入る。

俺にとって、ギルドなんてそんな程度のもんだった。」

「………」

「…でも、今は…」

 

そこまで言って、言葉を止める。

どんな風に言ったら伝わるだろうか。

今はもうそんな風には思えない自分がいることを。

ギルドの、その誇りのために闘いたいと思う自分がいる。

ギルドのメンバーのためなら、命を張ってもいいとさえ思える自分も。

そして、そのフェアリーテイルにお前がいて、自分の為にもお前の為にも、あの場所を守りたいと思う自分がいることも。

 

俺が言葉につまっている間も、レビィは黙って微笑んで次の言葉を待ってくれた。

そうして、散々どう言おうか悩んだ挙げ句に、途中から考えるのが面倒になって、何となく思い付いた言葉を口に出して言ってみる。

 

「…今は、ギルドは…、

お前を連れて、二人で『帰る』場所だ。」

 

伝わったかどうかはわかんねぇ。

でも、

俺のその言葉にレビィはにっこりと笑って

 

「…そっか」

 

と言って満足そうに頷いた。

 

 

「…ま、そういう事だから、心配すんな。

何があっても、ちゃんと探し出して助けてやっからよ。」

 

ギヒッと笑ってそうレビィに言ってやる。

 

「前は、小せぇと探すのが面倒だって言ったくせに…。」

「…はぁ?…何の話だよ。」

「もぉ~、覚えてないの?

ガジルが言ったんじゃん!天狼島で。」

「さぁな、知らねぇよ」

 

拗ねた様子でレビィがブチブチと言うので、わざとらしくそう言ってやった。

天狼島で、あの兜野郎と鶏野郎に押さえつけられているコイツを見た時には、脳天が沸騰するかと思うくらいにムカついたんだったな。

今回も、いや今回の方が、何かあったときにはキレる度合いは何倍も大きいだろう。

 

だから…

 

「…何回も同じ事言わすなよ?

俺から、離れんじゃねぇぞ。」

 

同じ台詞をもう一回、今度は耳元で言ってやった。

その瞬間に、レビィの頬がボボボッと紅くなる。

…クソ、そういう反応すんなよ。

噛みつきたくなるだろうが。

 

アァ、氷野郎が毎日ジュビアに振り回されてるのを見て『イカれてるぜ』と鼻で嘲笑ってきたが、結局は俺もマジでイカれてる。

 

「…全部、お前のせいだかんな。

責任取れよ。」

「……へ?」

 

呆けた様子のレビィの唇をゆっくりと塞ぐ。

ビックリして後ずさろうとしたレビィの腕を掴んで、思いきり引き寄せた。

 

そして、少しだけ唇を外して、脅迫するように囁く。

 

 

……一生かかって、責任とってもらうからな。

覚悟しろよー-ー

 

 

 

〈続〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

∞∞後書き∞∞

 

第2話、お付き合い頂いてありがとうございます。

うっ、うっ、今回難しかったです。

 

ガジレビ、大好きなのに難しいよぅ。

 

駄作ですが、ガジレビファンの方、怒らないでください(T-T)。

 

今回、グレジュビは少なめでしたね。すみません(((^^;)

次はきっと、グレイ様も頑張る事でしょう(?)

 

また宜しくお願いします。